お蕎麦の「旬」ってご存知ですか?

   

 

読者の皆さん、こんにちは!梅雨も明け、夏真っ盛りですね!

暑い日には冷たい麺類を身体が欲するようで、多くの蕎麦屋さんが賑わっています。

ですが、つい何年か前まではとても悩ましい時期だったのです。

たくさんのお客様が「蕎麦」を求めて来店される暑い時期。

実は「蕎麦」にとって、その時期の高い湿度や暑さは天敵と言えるほど、品質の低下につながる環境なのです。

 

少しでも管理を誤ると、「色が変色」したり、「切れ」やすくなり、「香り」や「味」が悪くなってしまう・・・。

「お客様がたくさん来てくれる時に・・」

悔しい想いや、お客様に申し訳ない想いを夏になる度に繰り返したのは自分だけではないはずです。

 

現在ではその品質の低下を解消するため、自家製粉や低温倉庫での管理など、各製粉会社さん、各蕎麦屋さんでの試行錯誤が成果を出し、夏でも高品質のお蕎麦が提供されるようになっています。

 

蕎麦屋さんの努力だけでなく、原材料を作る農家さんの挑戦も著しく、夏場に収穫できる「夏蕎麦」の生産が蕎麦業界を変えたのではないかと思う近年です。

 

夏の新そば

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新そばの季節といえば、「実りの秋」「収穫の秋」、お米の新米よろしく「秋」に旬を迎えるのが通説でした。

痩せた土地でも収穫できる「そば」は昔から夏でも栽培、収穫がされていましたが、「夏そばは犬さえ食わぬ」という諺が古くからあるそうで、ただ植えればいいという訳ではなかったようです。

 

夏そばは秋そばに比べ「香りやコシ、風味が無い」と言われていたようですが、現在では、その土地の土壌や気候に合う品種が調べられ、秋そばの魅力に劣らない夏そばを生産されています。主な生産地である北海道はもちろん、南は九州、沖縄まで!

 

「秋新そば」の収穫は9月後半から11月中。

また、「夏新そば」の収穫は6月後半から8月中。

 

秋そばが濃厚な風味や香りであるならば、夏そばは若い(淡い)清涼感を楽しんでいただけたらと思います。

何より、提供する側として、たくさんの悩みから解放される嬉しさといったら(笑)

あれだけ気を遣っていたのが夢のように、「切れない」「香りや味、色の変化」が変わります。

 

栄養価も気になります

 

また、夏場は食欲が落ちると偏食しやすくビタミンやミネラルなどの摂取バランスが崩れやすくなります。

蕎麦は炭水化物、ミネラル、ビタミン、タンパク質、脂質の五大栄養素が含まれているので夏にはもってこいの食事なんですね。

お客様の身体が暑い時期にそばを欲しているのも納得がいきます。

もちろん、秋そばと比べても夏そばの栄養価も遜色ないそうですよ!

 

噂によると、「春新そば」の情報も!

春に新そば!いったいどこで生産されるのでしょう?

その筋によると、冬でもできるのではないだろうかとのお話しでした。

そうなると、四季それぞれの新そばが味わえる日が遠くないのかもしれません。

 

農家さんのお話を実際に聞いてみました!

 

お付き合いのある、埼玉県三芳町でそばを生産されている注目の若手農家、「みよしそばの里」の船津さんにお話しを聞く機会がありました。

 

ライター「夏そばは今や、日本全国で生産されているのですか?」

 

船津「実のところ、成功されている農家さんは一握りだと思います。実験的な農地が多いのが現状です。

夏そばは秋そばよりも手間暇がかかるのと、天候・気候の問題、連作、同じ時期は米を生産したほうが農家さんにとって割が良い、などの理由があります。

蕎麦屋さんが夏そばをより理解し、ニーズが増えれば生産に本腰を入れる農家さんが増えてくるのではないでしょうか」

 

ライター「なるほど、夏そばの生産は思った以上に簡単ではないのですね。

春そばという噂を聞いたのですが、収穫する時期が春だからそう呼ばれるのですか?」

 

船津「そばには大きく分けて夏型(夏そば)、秋型(秋そば)の2種類なんです。

夏型は日照時間が長い季節でも開花・結実できる種で、秋型は日照時間が短い季節でないと開花・結実できない種。それらを何時蒔いて、何時収穫するか。それによって呼び名が変わるのだと思います」

 

ライター「そばの種類が2種類あったのですね!それは知りませんでした。また、蒔く時期や収穫の時期で呼び名が変わる。なるほど。だから夏新そばを「春蒔きそば」と呼んだりするのですか。

いつも勉強になります。ありがとうございました」

 

お会いしてお話を聞く度に、毎回勉強させていただいています。

そば農家さんになる前は大手企業に勤めていたこともあり、そばの事以外にも、経営やスタッフ育成、今後の業界などの話しも伺いました。

穏やかな口調で物静かな方ですが、その裏には信念や覚悟ができているからこその、とても熱いものを秘めている雰囲気が伝わってきます。

 

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近年、夏新そばを出しているお店が増えてきています。

ぜひ暑い夏においしいお蕎麦を求める方は、その年ならではの「夏新そば」をご近所のお店で捜してみてはいかがでしょうか。

この記事を書いた人

松本 英利そば御膳 むさしや  店長
埼玉県川越市の郊外で両親が創業した蕎麦屋を営んでいます。

料理人の気持ちのこもったお店や料理を探す、食べ歩きが大好きです。

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