蕎麦食いの街「足利」・地元の皆さんに愛される蕎麦屋さん、「九・一そば 第一立花」

      2017/03/10

 

読者の皆さん、こんにちは!

足利そば巡りの旅、第三弾は・・

またしても「明治12年創業」の老舗、「第一立花」さんです!

 

明治12年。現在から約140年ほど前に遡ります。

NHKの朝ドラ、「あさが来た」の主人公の30代あたりの時代。

このお店がある地区は「足利発祥の地」で足利氏が室町時代より将軍家となり、絹の産地として織物業が発達した地域だそうです。

江戸時代中期には商人や、職人が多く行き交い賑わいを見せて栄えた町とのこと。

 

お昼は「荒川屋」さん、「一茶庵本店」さんをはしごしたので、行道山浄因寺・鑁阿寺・織姫神社を腹ごなしに回ってきました。

「第一立花」さんは織姫神社からほど近くなのですが、夜の部の営業時間までもうしばらく。

場所だけ確認しようと散歩します。

 

どこで間違ったのか裏路地に入り迷ってしまいました。

通りすがりのおじいさんに聞くと、「あ~。九・一そばはすぐそこの角を曲がったところだよ」と。

(屋号の立花さんって呼ばないんだ)

お礼を言い、角を曲がると。

 

「おっ!発見!」

大きい三角屋根の建物。造りが細長くて意外です。

この時はまだ休憩中で裏側から到着したのですが、「出口(お帰り)専用」と書かれた引き戸。

神田の有名店みたいですね。きっと創業のころの名残なのだろうと想像します。

場所も確認できたので、宿に戻って出直しましょう!

 

 

この日は良く晴れていたのですが風がものすごく強く冷たく。日が暮れるとますます身体が冷えます。

織姫神社付近は夜の営業をしているお店が少ないようで、看板の灯りを見てほっとしてしまいます。

 

足利名物「九・一そば 第一立花」

のれんをくぐると優しそうな女将さんがお迎えしてくれました。

経緯を話すと、若旦那は今日はお休みだそうで四代目の旦那さんが。

 

四代目・五代目って凄い事ですよね。

日本は島国で隣国との侵略や戦争が少ないからとはいえ、世界規模で企業継続年数がダントツに多い国です。

創業200年を超える長寿企業は地球全体で約5000社。実はその半数以上を日本の企業が占めていると言われています。(3000社を超えているそう)

店内は「ザ・蕎麦屋」と言う雰囲気。

一階にはテーブル席と小上がりの座敷。二階は60名が座れる宴会場。

天井は矢羽根編の網代天井。最近ではあまり見かけなくなりました。

こうゆう職人さんがいつまでも残って欲しい。と職人さん達の苦労も知らず、身勝手に思ってしまいます。

額に入れられているのは!

相田みつおさんが作ったのれん!!屋号入りで!!

うちの母がこんなのもらったら卒倒しますよ笑

四代目ご主人にうかがうと、

「まだ、20代の頃のみつおさんが生計をたてるために売りに来たんだよ」と。

ろうけつ染めを始めた相田みつおさんはご近所の商店を相手に商売していたんですね。今では想像もできません。

その他にも店内の額には「九・一そばの手引き」「歴史的背景」「足利時代の古地図」など。

歴史、年期を感じます。

立ち話しが長くなり(立花さんゆえに・・汗)、そろそろ食事をしなければとメニューを拝見。

 

今日はもう車の運転をしないのでお酒解禁だな~、と考えていると。

「外は寒かっただろうし、お燗するかい?」と四代目。

寒さが顔に出ていたのでしょうか?温かいお酒!とてもタイミングのいい一言!

「そうします!あと、とりわさも」

蕎麦屋の定番のツマミ。「とりわさ」。普段は蕎麦屋さんに行っても定番過ぎて素通りしてしまうのですが、なぜか惹かれました。

程よく燗をつけたお酒のお通しは山菜おろし。

これだけで一本飲めちゃいますよ~!(呑兵衛なライターです笑)

いとまを置かず出てくる「とりわさ」

これが当たりです!新鮮なささみをさっと火を通し、刻み海苔とわさびで。

熱燗に合うな~。

ブレた写真が多くなってしまいすいません・・

決して酔っぱらっているわけではないと思います。きっと、腕と寒さのせいです!汗

 

気取らなく、庶民の食べ物として普及した蕎麦。元祖日本のファーストフードともいえる蕎麦はいつ頃からなのか、「敷居が高い」と言われるようになっています。

素材の高騰、店主の手間暇を考えれば当然ですが、大手企業のチェーン店が簡単に参入してこないのも何かしらの理由があるはずです。

もちろんそんな簡単に出店されたものが広まるようであれば、個人の蕎麦屋はひとたまりもないので困ります笑。

同業者だから解る部分も多々あるのですが、「第一立花」さんのメニューを見ていると庶民の食事処を昔ながらに守られているのだなと感じます。

「昼間に来ていたら、間違いなく鶏天丼かかつ丼セットを頼んでしまうな~」と、下調べした時の口コミを思い出し地元の皆さんに愛されている評判を確かめたくなります。

 

ですが、まだ夜は長いし「ここは名物九・一そばでしょう!」と〆のおそばを注文。

そばといえば「二八そば(蕎麦粉8割:つなぎ2割)」が定番だったひと昔し。昨今では蕎麦屋さん店主、それぞれの考えがあっていろんな割合の蕎麦がありますが蕎麦粉が多いほど好まれる傾向に対し、バブルの頃は小麦粉の割合の方が多い店もあったなんて話しも聞きます。

そんなお客様を騙すような「ズル」もせず、ひたすらに美味しいそばを食べてもらいたいと創業時から守ってきた「九・一そば(蕎麦粉9割:つなぎ1割)」を食べない訳にはいかないのです。

やってきた「九・一そば」は、細切りのみずみずしい蕎麦。

すすり具合も、喉越しもいいそば。いくらでも胃の中に入ってしまいそうです。

 

細切りでも蕎麦の香り・コシ、申し分ありません。お汁もほど良く、そばが浸ってしまっても辛くない加減。

お酒の後にはこの上ないな。と、それは呑兵衛レビューになってしまいますね笑

 

美味しく頂きタクシーをお願いすると、

「もっとゆっくりされていいのに」と女将さん。

じゃあ、お燗をもう一本。なんて甘えてしまうと根っこが生えてしまうのです。

 

旦那さんと女将さんに見送られ、後ろ髪を引かれながらお店を後にします。

タクシーの運転手さんの話しを聞くと、「ここ(足利)は蕎麦屋が多いけど、地元の人は皆知ってるよ~」と。

気取らず居心地のいい、家族経営の老舗。なるほど。長寿経営のヒントが「第一立花」さんにはあるのかも知れません。

九・一そば 第一立花」

http://30min.jp/item/4216640

この記事を書いた人

松本 英利そば御膳 むさしや  店長
埼玉県川越市の郊外で両親が創業した蕎麦屋を営んでいます。

料理人の気持ちのこもったお店や料理を探す、食べ歩きが大好きです。

ヒトサラのページ
http://hitosara.com/0002100566/

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