日本屈指の「そば処」山形県。山形市、蔵王の大自然と調和する「そば処 三百坊」

      2017/05/14

読者の皆さん、こんにちは!

皆さんは山形県と言えばどんな事を想像しますか?

「さくらんぼ」や「ラ・フランス」。

「だだちゃ豆」「月山筍」「将棋の駒」などの名産・特産品。

「出羽三山」「立石寺(山寺)」「蔵王スキー場」「銀山温泉」など神社仏閣やレジャースポット。

「芋煮」「山形ラーメン」「玉こんにゃく」「だし」などの郷土料理。

「アル・ケッチャーノ」のような有名レストラン。

どれもこれも山形を代表するものばかりなのですが・・・

忘れてはいけないのが「そば」です!

「でわかおり」などの品種で有名な、言わずと知れた「そば」の産地であるのはもちろん、また県民の総数に対する蕎麦屋の店舗数は・・・信州長野県に次いで「2位」!!しかも僅差で!

消費量も(うどんも含まれます)全国で「3位」(1位はうどん県香川ということはそばだけだったら・・)という、まさに蕎麦王国なのです!

ちなみに我らが埼玉は16位・・詳しく知りたい方はこちらのサイトを。

 

そば処山形・そば巡りの旅

この地を踏んだのは2014年。毎年恒例である組合のメイン事業「全国麺類組合青年会」の研修会でした。

そば組合の青年会では毎年、各県が持ち回りで研修会をします。

研修会の内容は、担当する県の会員達が自ら考え設営。主に仕事に関わる勉強会や講演会。そして様々な会員と意見交換をする親睦会です。

2014年の山形大会では、地元企業の鈴木製粉所研修会場にて、市場に出回らない限られた産地の「でわかおり」。

雪解けの川に浸すことにより雑味を取り、甘さを引き出した「寒ざらしそば」などを実演手打、試食。

親睦会では山形の「芋煮会」を最上川の河川敷で、山形の銘酒「十四代」のラインナップをそろえ振る舞われました。

メインは研修会当日なのですが、その前後も研修会にひけをとらない内容です。

当日のみの参加者もいれば遠方から来る人は前日泊か当日泊になります。

自分は前日から山形に入り、同様の方達と山形県青年会の人の案内を受けました。

山の中に佇む蕎麦屋で昼食。立石寺参拝。そしてあの銀山温泉で温泉に浸かり、夜更けまでお酒を交え同業者とのいろんな会話。

今、振り返っても素晴らしい研修会だったと思います。

 

前置きが長くなりました。

その時に伺った蕎麦屋さんが「山形そば巡りの旅」の一店舗目です。実は出だしの薀蓄(うんちく)、こちらのご主人に聞いた話しだったりします。

 

「そば処 三百坊」

以前に伺ったときは11月の紅葉の時期。今回は3月中旬。個人の旅なのですが、またしても山形の青年会の方に案内して頂けるということで甘えさせていただきました。

 

山形駅から市街を抜け、東北芸術工科大学を通り過ぎると山道に入ります。

登り始めると先ほどまで雪がなかったのに、辺り一面真っ白に。もやがかかって幻想的。

案内してもらえると聞くまで、前回の記憶が曖昧なので「歩いていけそうかも」なんて思っていた自分。この道を歩きで行ったら何時間かかるんだろう。案内してくれた方に感謝です。

ちなみに車でなくても駅からこの付近までのバスがあるそうですよ。

 

見覚えのある看板を過ぎると、到着します。

前回の紅葉に囲まれた様相と全く違う雰囲気です。

今回は雪が降り、もやがかかってしまい広大な景色は望めませんがこれもまたありですね。

この季節に、この場所に来たからこそ味わえる瞬間です。

自家栽培のそばが食べられるお店。

エントランスまでの小路は雪に「そば殻」が撒かれています。

後で聞いたところによると、滑り止めと雪を解かす効果があるのだとか。

雪国ならではの知恵ですね。

 

右の建物は蕎麦を製粉する部屋でいろんな設備があり、コンバインなどの農機具も見られます。

というのも、こちらのお店はなんと!蕎麦を自家栽培して収穫・製粉しているのです!

 

ひと口に「そば屋」といってもいろんな形態のお店がありますが、ほとんどの蕎麦屋さんは自家栽培まではしていません。その理由は簡単に言えば「時間」ではないかと僕は思います。

お客様に「そば」を提供するためにどんな「作業」をするべきか。

蕎麦屋さんは考えます。

その「作業」で自身の知識や技術・労力に見合った、お客様に喜んでもらえる「そば」を提供できるのか。

またそれによる「報酬」が得られるのか。

それらを見積もってお店それぞれ、独自の商売の方法に行き着くはずです。

どんな食べ物にも当てはまりますが、「そば」が食べる人の前に出るまでを逆算すると、自家栽培は相当な時間がかかるのがわかります。

そう。お米なら田植えからって事です。

そんな一から作った「そば」が食べられるお店がここ山形に。

店内には昔の脱穀機も。実際に使った事もあるそうです。

歴史と趣を醸す建物

大自然の中に悠然と建つお店。重厚感のある、三百坊さんの建物は「築400年」以上という歴史があります。

この場所に移築したのは45年前。

天井は高く、年月が経った柱の色。大きく分厚い扉。広いたたき。漆喰の壁や囲炉裏。歴史を感じる調度品の数々・・

外の風景と一体になり、時間を忘れるひと時になります。

 

山形の四季が望める庭園

客席から望む約3000坪の敷地には、春には梅・大山桜、つつじ。

夏は新緑。流れる清流。

秋は紅葉。

冬は降り積もる雪の白色とその他の黒色が織りなす静かな世界。

きっとどの季節に来ても山形の季節が味わえるお店です。

 

今回の再訪には隣の秋田県から「大の蕎麦好き音楽家」のRさんにゲストで同行していただきました。

「秋田には全くと言っていいほど蕎麦屋がないんです。なのでそばが食べたくなると毎回高速を飛ばして来るんですよ」

そんな山形の蕎麦屋さんを食べ歩いている方にご同行していただけるとは、なんとも心強いです。

この三百坊さんにも幾度となく来店されているそうで、写真もたくさん提供していただきました。

(この記事の写真、半分はRさんご提供です。ご協力ありがとうございました!)

部屋の奥では玄蕎麦の乾燥中。この作業は初めて見ました。

なんとも味のあるメニューを拝見

 

注文の品は幾度となく来店されている方にお任せします。

個人の経験上ですが、詳しくないお店に来た時は常連さんや地元の方の意見に委ねると色んな発見があって面白いですよ。食べ歩きが趣味な方なら是非試してみてください。

まず、手始めに「板そば」と野菜の天ぷら盛り合わせ。

大きいお盆に盛られた板そばは、山形の名物でもあります。

関東だと、一人前を塗り物の蒸籠や皿の上に簾を引いて盛り付けますが、なんで大きなお盆に盛るのか。

新潟でもこんな風習がありますね。あちらの場合はつなぎが「ふのり」・・

話しが長くなりそうなのでまた次回にでも。

地元山形で採れる、旬の野菜の天ぷら。

この日はおかひじき、カボチャ、あさつき、ウド、さつまいも、玉ねぎのかき揚げ。

さらに店主の今一押し「梅干しの天ぷら」!

実は、前回来た時の天ぷらには初めて食べる「むかご」や「菊花」の天ぷらに驚き、地元に帰りすぐさま取り入れたという経緯があります。もちろんお客様に大好評でした。

店主の岡崎さんにその話しをした時、

「今、大人気なのが梅干しです」と伺っていたので楽しみにしていた一品です。

んん~っ!これは!!

柔らかく、実の厚い。甘い梅干し・・。油や衣と相まって違う食べ物に変わります!

「普通の梅干しではこの感じにはならないですよね?」の質問に

「そうなんです。○○で作った梅干しが天ぷらに合うと思います」と岡崎さん。

帰宅後、地元の市場で探しましたが結局見つからず・・これを真似するには自分で梅干しを漬けるしかないのでしょうか・・

 

気を取り直し、おそばへ。

薬味に添えられたお新香。山形ではどうやらこのスタイルが定番の様子です。口直しにいい感じ。

そばは主張が強いです!角が立ったコシの強いそばは、風味の強さと共にすんなり口に入ってくるしなやかさを持ち合わせています。

「山形のそばを是非!」と言わんばかりの印象を受けました。

板そばを平らげると、今度は「寒ざらしそば」。

先ほどの普通の「板そば」でもなかなかの野趣あふれるそばだったのですが、さらに見た目・味・食感共にパワーアップします。

強さというより荒々しさって感じでしょうか。

三百坊さんのもり汁は「かつお出汁」に加え「あご出汁」などを使いパンチが効いているのですが、そばの野趣が相まると「なるほど!」と合点がいきますよ。

もり汁が足りなくなった時の予備の器もセンスが際立ちます。

内心「こんな器使いたいなぁ」と。

そば湯の湯桶も素敵です。こんな湯桶は見たことないです!

建物の雰囲気ととてもフュージョンします。

お土産には奥様のデザインされた包装の乾麺や、口コミで気になったわらびもち(要予約)なども。

わらびもちも食べたいなぁ・・
この時は予約していなかったので、後日配送していただきました!

大ぶりの黒糖のわらび餅と、胡麻入りのわらび餅が二種類、五切れづつ入っています。
ねっとりとした食感がいいですね~!個人的には胡麻のタイプが好きです!
食べたい方は予約必須ですよ!

 

しかし・・、同行された皆さんの食べるのが早い事。余韻に浸る間もなく次のお店へと急ぎます。

 

次に来るときはどんな驚きや景色が待っているのか楽しみですね。

 

四季の三百坊

 

そば処 三百坊

住所:山形県山形市土坂荒屋敷453-2

電話:023-633-3092

ホームページ

http://300bou.net/

この記事を書いた人

松本 英利そば御膳 むさしや  店長
埼玉県川越市の郊外で両親が創業した蕎麦屋を営んでいます。

料理人の気持ちのこもったお店や料理を探す、食べ歩きが大好きです。

ヒトサラのページ
http://hitosara.com/0002100566/

Facebookのページ
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