日本屈指の「そば処」山形県。山形市で江戸蕎麦を!「そば処 竹ふく」

      2017/05/14

読者の皆さん、こんにちは!

前回の「三百坊」さんに案内していただいた組合の先輩と、秋田県の「大の蕎麦好き音楽家」Rさんに、「せっかく山形に来たのだから何かリクエストはある?」と聞かれました。

 

もちろんありますよ!

「お二人がお勧めする蕎麦屋さんに行きたいです!」

山形そば巡りの旅。二店舗目です。

三百坊さんから、また山形駅に戻ります。

「あの店は混んでいるから少し時間をずらして行こう」、と先輩。

寄り道ももちろん賛成です!

平清水方面に車を走らせます。

お寺に参拝したり、七右衛門窯という陶器の工房に立ち寄ったりしながら調整します。

 

道中、先輩が「山形の周辺の山は、実は人工物じゃないかって噂があるんだよ」

「この千歳山は山形市民にとって東京の東京タワーみたいな存在で・・」

Rさんは学生の頃に住んでいたそうで、

「千歳山に満月がかかっているのが、まんが日本昔話の風景みたいでとても記憶に残ってる!」

そう言われてみると、後方の千歳山をはじめ、四方の小ぶりの山々は創られたようにきれいなすり鉢型。写真がなくてすいません汗

「古墳じゃないかって噂」「実は地球外生命体が!笑」

山形って意外と歴史が古くて、ありえるかもしれないって思ってしまいますよ。

そんな話しで盛り上がっていると山形駅を西に越え、大通りから静かな脇道に入ります。

 

羽州街道(5号線と17号線)が交差するあたり。

閉店少し前を狙って伺ったのですが、「あれ?まだお客さんいるね」と先輩。

人気店なのですね~!

手打ち蕎麦 竹ふく

 

お昼時の喧騒が過ぎ、ひと段落した。そんな空気が漂う店内は、こじんまりとしていますが、「ザ・蕎麦屋」という雰囲気が醸されています。

 

こちらの店主、蕎麦屋業界では知らない人はいない!と言うぐらい有名な、あの「神田 まつや」さんで修業された方なのです。

また、こちらも名店「練馬 田中屋」さん(現在はひばりが丘に移転)でもお仕事をされていたそうですよ。

そして。前回の三百坊さんの記事に書いた、研修会の手打ち実演をされた方でもあります。

同業者が百人を超える場で、仕事を見せるのは並大抵ではできません。

その時の参加者が「竹ふくさんの仕事ぶりは素晴らしかった!」と絶賛する声を現在でも耳にします。

自分は残念ながら他の仕事があったため拝見できませんでしたが、実際に食する事ができるので悔いはないです笑

 

同行された「音楽家のRさん」。実はこちらのお店を贔屓にされているそうです。

「竹ふくさんのかき揚げせいろは絶品ですよ!いつもならかき揚げせいろを頼むところですが・・先ほどたくさんいただいてしまったので・・」

わかります!僕も食べ歩きの時にやってしまうシチュエーションです。

先輩も多分に漏れずに、「納豆そばで!」

Rさんと僕は二色もりを注文します。

(Rさんに「かき揚げせいろ」の写真をいただきました。小エビ・小柱・野菜のかき揚げ。やっぱり食べればよかった・・)

あ!お汁を別にオーダーできるんですね!

それなら胡麻だれの汁もお願いします。

 

毎度の事ながら、メニューの写真を撮り忘れるという失態・・。

竹ふくさんはメニュー構成がシンプルながらも、お店の規模から考えると豊富なお店だと思います。そば・うどんの種類にトッピングも。きっとお客様のリクエストに応えてきたのでしょうね。

山形名物の「鳥そば」や「寒ざらしそば」、「かき揚げせいろ」もお店のお勧めですが、山形の蕎麦屋さんを巡った自分が「竹ふく」さんでおすすめするならば、やはり「季節の変わりそば」と「細切りの江戸蕎麦」です!

 

山形の江戸蕎麦

普段、関東圏の蕎麦屋さんを食べ歩いている自分が山形のお店を何軒か伺った感想ですが、まず最初に思うのは、「どの店もレベルが高い!」という事。

前回の三百坊さんの冒頭でも触れたように、山形県は全国1、2を争う「人口に対しての蕎麦屋の店舗数が多い県」。

その中で切磋琢磨しているのだからなるほど、納得がいきます。

どちらのお店も個性豊かでお客さんは飽きずにそばが楽しめるのだなと思いました。

(この記事を書きながら、いろんなお店のレビューを見たところ山形県の皆さんはそばに詳しいうえに拘りも多く、なかなか辛口な評価が多く見られました。お客様のそばに対する愛も、舌も肥えているのですね汗。さすがそば処山形です!)

 

そして二つ目は。

「太めのそばが多い!」という事。

そばを太めに打つという事は、噛んでそばの「食感」や「味」を楽しんでもらいたいから。ではないかという、個人的な推測です。

 

最近関東圏でも太めなそばが増えていますが、基本的には「切べら23本」といって、一寸(3.03㎝)の生地に23回包丁を入れる。つまり、そばは一本1.3㎜で切りそろえる計算になります。マッチ棒より少し細いぐらいでしょうか。

もちろんこれはお店の考えにより変わってきます。昔から言われている参考値として考えてもらえれば良いかと。

ただ。山形ではこの1.5倍から2倍ぐらいの太さのお店が多い印象でした。

 

そんな山形で、細切りの江戸蕎麦を食べられるお店が「竹ふく」さんです。

注文した「二色もり」が来ました!

この日は「ゆず切りと外一の並そば」です。

(「外一・そといち」というのはつなぎとの割合になります。「二八そば」というのは多くの方が知っての通り、そば粉8割に対しつなぎの小麦粉などが2割ということです。外一というのは、そば粉10に対し1割のつなぎになります)

季節の変わりそばと、並そばの合い盛り。

春はさくら、夏は紫蘇、秋は菊、そして冬は柚子。の変わりそば。

奥がさくら切り。Rさん提供。

紫蘇切り。こちらもRさんより。

食事で季節を楽しめるのは日本食ならではですね!

今回も音楽家のRさんに写真をいただき、多大なるご協力を得ています。感謝感謝です!

いや。しかし・・。

美しいです。

変わりそばは味・香りはもちろん。見た目もとても大事ですので店主の仕事ぶりが伺えます。

さらしな粉といって(御膳粉ともいいますね)、蕎麦の実の中心にある真っ白な粉を使うので、大変貴重な粉です。透明感のある上品な白色と、ツルツルと啜れる喉越しが良いのが特徴です。

それと共に、でんぷん質が少ないので「切れやすい(つながりにくい)」のが難点。

そんな扱いにくいさらしな粉でも、竹ふくさんは外一の割合で仕事をされます。

解る方には技術の高さがお分かりになると思います。

自分だったら二八になってしまう・・

 

あ!写真を撮っているあいだに同行されたお二人は食べ始めてます!

納豆そばの写真が撮れません・・涙

そんな有様では情けないので、竹ふくさんのご厚意により写真をいただいた次第です!

こちらが納豆そば。まぜまぜして食べると絶品ですよ!

ついでに鳥そばの写真も笑
夏に山形に来たら、絶対に食べたい一品です。

 

急いで自分も食べ始めます。

ふわりと香るゆずの風味。

「日本っていいな~」(何かのテレビ番組風)

そば汁も、そばの邪魔をせず、辛すぎず・甘すぎず。

逆に風味を活かすような美味しい汁です。

 

後に店主に聞いたところによると、

「大事にしているのはバランス。材料のどれかが主張しすぎてしまわないように気を付けています。最上級の材料を使っている訳ではないです。その理由は、少しでもお客様のお財布に優しくなるように。最上級でなくても、その素材を丁寧に理解し、扱えば遜色ない汁ができるんです」

 

何かの本で、田中屋さんの記事を読んだ時、同じような想いを目にした記憶が甦ります。

「そばが好きな人がどんな時でも楽しめるように・・」

「練馬 田中屋」さんのDNAを受け継いだ方が多く出店されていますが、山形にもいらしたとは思いもよらず。

 

ごま汁は「神田まつや」さんの流れでしょうか。こちらは並そばでいただきます。

セサミンで身体が喜びますね!そば自体でも健康食なのに、さらに胡麻をたっぷり使った汁なのだから女性に人気なのも頷けます。

(自分の店でもやろうかな・・)

 

味わって食べているのに、同行したお二人はすでに箸を置いているという・・。

「蕎麦屋に長居は無粋だぜ」と言わんばかりです。

自分もそんなに長居する質ではないのですが、お二人の速さは尋常じゃないです笑

 

お会計を済ませようとすると、また新しいお客様のご来店です。

笑顔で迎える女将さん。

慌ただしく出て行く自分達を小雪の舞う中、外までお見送りに来ていただきました。

この記事を書くのに、調べれば調べるほどファンの多い「竹ふくさん」

多くのそば好きの方に愛されているのだと思います。

「山形の至宝」だなんて、それ以上の褒め言葉ってあるのかって程です。

いつか自分も地元のお客様に言われてみたい言葉ですね!

 

「手打ち蕎麦 竹ふく」

住所:〒990-2483 山形県山形市上町2-3-1

電話:023-643-8003

定休日:水曜日

HP:http://www.ab.auone-net.jp/~takefuku/index.htm

この記事を書いた人

松本 英利そば御膳 むさしや  店長
埼玉県川越市の郊外で両親が創業した蕎麦屋を営んでいます。

料理人の気持ちのこもったお店や料理を探す、食べ歩きが大好きです。

ヒトサラのページ
http://hitosara.com/0002100566/

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